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ドローン講師の必須要件

航空法改正により無人航空機の操縦技能証明書が国家ライセンスとなりました。
ライセンス取得の手段として多くの方が利用しているドローン(無人航空機)の教習所(国土交通省航空局登録講習機関)では、所属している講師が受講者の皆さんに知識と操縦技能を教えています。
今回は年間100名以上の講師を養成してきた私が、登録講習機関における講師に求められる知識・操縦技能・資質についてお話ししていこうと思います。

講師の役割
ドローンの操縦技量に優れた者が、人に教える技量を兼ね合わせているわけではありません。
飛行課題を寸分の狂いなく再現性の高い操縦で、ドローンを操る。
受講生の興味はその操縦技術。どこでラダー(回転操作)を入れているのか、スティックを左右同時に巧みに操作を行なっている姿を見ていると歓声が上がるほどの機体をコントローラーで操っています。
いざ、受講生が操縦を行うと機体が思うように動かず、飛行経路を大きく外れてしまいます。
講師はその姿を黙って見つめているだけ・・・
一言「そうじゃないです」
受講者はその一言で混乱してしまいます。
オペレーターとしては最高の操縦技術でクライアントを魅了してきた匠達ですが、そもそも論理的に教える手法を学んだり習得しようと思ったことがないのです。
登録講習機関においての講師の役割は、受講生を規定時間内で目指す資格に求められる操縦技量、知識を習得させることです。
その役割を担うために必要な要件を探ってみましょう。

講師に求められる心構え(資質)
心構えとは、講師に限らずその職業や仕事、専門性の高い知識を得るための継続的な活動を支えるのに必要なメンタル(気持ち)の置き所です。
師が備えている操縦技能を受講生に如何にして効率よく伝え再現させるか、講師と受講生という立場でのお互いのコミュニケーションがキーとなるので、そのコミュニケーションを図る上での講師の精神的な立ち位置を具体的に示します。
・講師と受講生には上下関係はない。
・講師の持つ知識、技量を伝えシェアする。
・習得が難しいと感じている受講生の感覚を汲み取る。
・受講生の操縦技能の成長を一緒に喜ぶ。
・真摯で理解しやすい言葉と表現を使う。
・知識、操縦技能、機体や管理アプリ、システムなどの情報は常にアップデートを心がける。
これらを基軸に、学科講習や特に操縦技能の習得を効率性を意識しながら進めていきます。

講師に求められる知識
一般的に無人航空機の運用ルールや機体の機能・性能の知識を習得するのは複雑で難解とされています。
受講生は講師から教えられた知識が正しい前提で習得してしまいます。
「前の先生はこう言っていた」
この言葉をよく耳にします。無人航空機に係る航空法および細則などは、無人航空機が定義された2015年12月10日施行の航空法改正以来、8年足らずで数十回の告示や改正が施されてきました。そのため、積極的に情報を収集している講師であっても数ヶ月程度で知識の陳腐化が起こってしまいます。
また機体によっては人が乗り組むことができない機体であっても無人航空機とも無操縦者航空機とも判断しかねる機体が登場したり、講習会場が特定飛行に当たる場合に生じる許可・承認手続きに関する認識不足など、「たかだか1kg程度のドローンを飛ばすだけなのに」人が操縦する他の工作機器とは比較にならないほどの知識が求められているのも実情です。
複雑で難解とされる航空法や小型無人機等飛行禁止法、航空機と異なる低空域で飛行させることで関連してくる民法などを整理して、関係性を把握することで飛行させる空域や飛行方法の組み合わせにより生じ得る問題に対処することが求められるでしょう。無人航空機の運用に関連する主な法律は以下の通りです。
・航空法
・小型無人機等飛行禁止法
・電波法
・民法
・道路交通法
法律や運用ルール等の知識だけでは講師としてまた操縦者としては不十分です。
運用する無人航空機とそれを制御・管理するアプリケーション、無線通信に欠かせない電波と伝搬の特性、バッテリーや燃料の管理の他、機械としての基礎知識も求められています。
つづきはまた・・・
*このコラムは橋本竜が移動中の合間を縫って記述しています。

講師の操縦テクニックとティーチング

講師に求められる資格と実績

講師に適しているキャリアパス